横紋筋肉腫の治療

横紋筋肉腫の治療においては、化学療法、放射線治療、外科療法を組み合わせて治療が行われます。

化学療法は、全ての横紋筋肉腫症例において行われます。ビンクリスチン、アクチノマイシンD、シクロホスファミドからなるVAC療法が、横紋筋肉腫の治療法として長期にわたり使用されてきました。日本での臨床試験での治療成績については、次の「横紋筋肉腫のよりよい治療のために」の項目をご覧ください。

放射線治療は、横紋筋肉腫の治療において重要な位置を占め、ほとんどの症例で行われます。横紋筋肉腫は放射線治療が高い効果を示すので必要な治療ですが、成長障害など長期的な影響も大きく、治療後の経過観察の際に配慮が必要となります。

外科療法については、化学療法や放射線治療の開始前の診断時に切除できた場合、治療成績の改善や治療の軽減につながります。しかし、横紋筋肉腫において、診断時から外科治療が行われる場合は多くありません。これは、横紋筋肉腫は重要な臓器に接して発生する場合が多く、切除により強い機能障害や見かけ(整容面)の問題を生じることが多いためです。また、化学療法と放射線治療で治癒が可能であること、診断時では腫瘍が大きく切除が不完全に終わる可能性があることも理由として挙げられます。ただし、化学療法や放射線治療を行っても腫瘍が残存する場合は、多診療科による協議(キャンサーボード)により手術を行うべきかどうかを決定することが重要です。